こころの健康を把握しよう!ストレスチェックが知る手立てに
ストレスチェックとは、現在自分にどの程度ストレスがかかっているかを把握するためのテストをいいます。簡易にネットで調べた経験のある方もいるかもしれませんが、ここでは、特に「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」に沿って実施される、会社で行うものについてお話します。
「個人でするぶんには心理テストみたいで面白いけど、会社のって自分をさらけ出すようで不安…」
「結果によっては仕事に不利になる?」という心配も浮かぶかもしれません。
実際はどうなのか、確認していきましょう。
ストレスチェックとはなにか?
ストレスチェック検査とは、会社において、産業医等の医師が実施する労働者のストレスをはかるための検査です。
一年以内ごとに一度、定期的に行うよう求められています。労働者の「ストレス要因、ストレス反応、周囲の支援」について把握することが目的で、検査結果によっては産業医との面談をする場合もあります。
ストレスとは、ひとにある種の刺激が加わったときに、からだやこころに起きる反応を指します。身近なところでは、「映画を観ていてハラハラし手に汗を握った」ことや「梅干を見て口につばが湧いた」なんていうことも、刺激に対してからだやこころが反応した結果=ストレスということになります。
私たちは日々何かしらの出来事にこころを揺らせているものですが、過度な緊張やその状況が常態化していることで、こころの動きがつかみにくくなることも多いものです。
特に職場においては、こころの柔らかい部分をオフにしておかないとやっていけない場面もあります。それが重なって、自分のこころが見えなくなっていないか、無理をし過ぎていないか、それをすくい上げることを目的としているのがストレスチェック検査です。設問に素直に回答していけば、自分の現状を知る手立てとなります。
ストレスチェック検査を実施する目的は、私たち労働者のこころの健康を守るためです。働きやすい職場を作り、事業を円滑に行うことで、ひいては会社の繁栄につながり、良い循環を起こしていきます。
早い段階で気付くことができれば、からだとこころが本当に悲鳴を上げる前に、より負担のない方向に動くよう、働きかけを始めることができます。会社としても、労働者の健康は重要です。恐れずストレスチェック検査を受けて、いまの自分を見つめてみましょう。
会社はストレスチェックを行わなければならない?
では、会社は必ずストレスチェック検査を行わなければならないのでしょうか。答えは従業員の数によって違います。50名以上抱える事業場においては必須です。
これまであった労働安全衛生法に加えて、平成27年12月1日より施工された法令では、新たに「心理的な負担の程度を把握するための検査等」として、労働者を50人以上抱える事業場において、定期的にストレスチェック検査を行うことが義務化されました。
事業者や所属団体などが、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室から出されたマニュアルに沿って、規定通りに実施する、公的な検査となります。
今後ますますの人手不足が予想される現代において、こころの不調での従業員の休職や退職は、大いなる損失です。
本人にも会社に負担となる事態を未然に防ぐため、会社は予防策を講じなければなりません。労働者のみならず、会社にとっても、ストレスチェック検査は重要となってきています。
会社への開示義務はある?
ストレスチェック検査の結果を、会社へ開示する義務はありません。検査に関しては、受ける・受けないも、その後産業医に相談することも、自由であり、判断は労働者にゆだねられています。
ストレスチェック検査を受けさせるのは会社ですが、実際に実施するのは、所属の産業医や外部の医師であり、検査の結果は実施者から通知されます。被験者の同意がないまま、検査の結果を会社に報告することは禁止されています。
希望すれば、産業医に検査結果の内容について相談することも可能であり、相談したことによって、仕事上、何らかの不利益を被るようなことがあってはならないと規定されています。
労働者に検査を受ける「義務」はありません。既に多大なストレスを抱えている労働者がいる場合、検査の強制がさらなる症状の悪化を引き起こしてしまう可能性もあるため、その配慮でもあります。
ですが、労働者保護の観点から生まれたという制度の成り立ちを考えると、そこまでの負担を感じることがないのであれば、受検するのがのぞましいでしょう。