メンタルヘルス対策画像①仕事をきっかけに、こころに不調をきたすひとが増えています。明日会社に行きたくないな…という程度の気持ちが、ネガティブな出来事をきっかけにどんどん膨らみ、ついには通勤に支障をきたすように。

悪化して長期に及べば、労働者としても生活が立ちいかなくなり、会社としても業務が滞ることになります。

そうなる前に対策をと、労働者のメンタルヘルスケアを重視する流れが出てきました。この流れの中、制度上はどうなっているのでしょうか。会社としての取り組みを見てみましょう。

労働者を守るには?企業の取組

個人のこころの領域に、会社としてどう踏み込んでいくか。たいへんデリケートな問題です。平成27年11月、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(厚生労働省)が改正されました。会社はこの指針に基づき、労働者のメンタルヘルスに関わっていくことになりました。具体的な内容を見てみましょう。

・教育研修と情報提供を行う
会社は「労働者」「管理監督者」「産業保健スタッフ(産業医)等」のそれぞれに対し、適切な研修の機会を提供します。

・労働環境の問題点を把握し、改善を目指す
管理監督者や労働者からの報告、ストレスチェック結果の分析や産業医等からの情報で現状を把握します。産業医等から改善提案がなされ、管理監督者が労働者の作業ベースにまで落とし込んで実行してくことになります。最終的に改善につながっているかどうか、その効果の確認を定期的に評価し、調整をしていきます。

・不調への気付きと対応を行う
実際に不調をきたした労働者が出た場合の対応策を事前に整備しておきます。それに則り、当該労働者への相談対応等を行います。

・復帰支援を行う
休業した労働者が無事に復帰し、働くことができるようになるまでをサポートします。

これらが各社に課せられた役割です。仕事に関係するストレスを取り除くことは、労働者だけの力では難しいものです。会社はそのことを肝に銘じて職場環境の改善を進めていかなくてはなりません。

セルフケアに向けて。会社が提供できること

メンタルヘルス対策②では自分ではどんなことができるでしょうか。何よりも最初に、まずは自分の状態をきちんと見極めることが大事です。そのためには、ストレスとはどんなものであるか、自分のからだにどういった反応をもたらすか、といった知識を得なければなりません。

個人的に書籍やネットで知識を得ることも出来ますが、指針では会社側に、労働者に向けてそういった気づきの機会を提供することも求めています。啓蒙の一環として、セルフケアに関する教育・研修・情報提供を行い、相談できる仕組みを整え、ストレスチェックを実施します。

こういった会社からのサポートを受けて、改めて自分の状況を見つめたときに、症状がでているなと思ったら、深刻な場合はもちろん、ごく初期のうちでもなんらかの対応をすることをおすすめします。気分転換をする、友人に相談する、休みを取る等、自分からアクションを起こすことで、少しずつでも状況は変わっていくものです。

メンタルヘルスケアと対策促進員の関わり

メンタルヘルス対策を進めるにあたってサポート役となる、対策促進員の存在をご存知でしょうか。中小規模の会社からの支援要請を受けて、メンタルヘルス計画のプランニングやストレスチェック制度の導入支援、管理者向け研修実施等といった、メンタルヘルス対策を会社へ導入するためのアドバイスを行う専門家(産業カウンセラー、社会保険労務士、臨床心理士等)のことを言います。

各都道府県に設置された作業保健総合支援センターに設けられた窓口を通して活動が行われており、各会社を回って計画を立て、ストレスチェック制度の導入と促進を支援します。対策促進員の活用で適切な対策を取ることができれば、休職するまで追い込まれる労働者も減るかもしれません。

カテゴリー: 労務・産業保健関連