メンタルの強化は、現代人にとって必須のサバイバル法かもしれません。

「メンタル」とは、精神や心の持ちようを意味します。抱えているものも様々、ものごとが起こったときにそこから受け取る反応も人それぞれです。社会生活を営む上で、ストレスのない環境はありません。

ではいかにその環境に順応していくか。自分の舵を上手にとっていくことができれば、どんな嵐が来ても乗りこなすことができるはず。メンタル強化について考えてみましょう。

強化するための対策。まずはからだから

こころを強くする方法についての啓発本は、長きにわたって数多く出版されてきました。ネット検索でもかなりの件数がヒットします。これだけたくさんの情報が世の中にあふれているにも関わらず、新たなものを求めるひとが止まないのは、メンタルを強化することがいかに困難であるかということでしょう。

こころとからだは深く強く結びついているもの。こころの問題を解決するのが難しいのであれば、まずはからだから取り組むことを考えましょう。睡眠不足があらゆる不調の原因になるのは広く知られています。それにもかかわらず、一番軽視されがちであるのは残念なことです。

まずは6時間程度の睡眠を確実に取り、同時に睡眠の質を上げるよう努力してみましょう。「寝る前に刺激物を摂らない」「遅い時間に液晶画面を見ない」「入浴してからだを十分温める」「温度や湿度、騒音対策、明るさ等、寝室の環境を整える」等、今夜からでも取り組むことのできるものはいろいろ思いつきます。

十分な睡眠が確保されれば、気力の低下も防ぐことが可能です。自分の睡眠に意識を向けてみましょう。スマートウォッチ等で自分の睡眠状態を見える化することも有効です。

メンタルのマネジメント方法

睡眠が満たされた後には、気力や意欲も持ちやすくなります。ここで初めて課題解決に向けて取り組みましょう。自分のこころを自分の手元に引き戻すのです。

近年のスポーツ競技において、メンタルトレーニングは重要課題となっています。良い成績を取るためには、フィジカルトレーニングだけではどうしても超えられない壁があります。

例えば、最近女子テニスで世界ランキング1位となった大坂なおみ選手の躍進には、コーチの行った対話重視の指導に起因していると言われました。自信を持ち、ここぞというときに結果を出す。アスリートでなくとも持ちたい能力のひとつです。

マネジメントとは、計画を立て、実行し、その結果を精査する能力を言います。いわば、状況をコンロトールする力です。自分のこころに手綱をつけるイメージ。望む方向へ導く力を持てたら、不調に気付いたときでも悪い方向へ流されずに済むのです。

こころの動きは習慣化されています。動作に現れる癖と同じように、無意識に慣れた反応を選ぶのです。それはもはや自分が望んでしているわけではなく、潜在意識がリモートで選ぶ考え方です。そこを正すことが必要となってきます。

具体的には、自分の意識や考え方にフォーカスし、どういった癖があるのか見極めます。ものごとが起きたときに、良い意味付けをする癖があるひとと、悪くとらえるひととでは、こころにかかる負荷も導き出される結果も大きく異なるといいます。なにかをきっかけにこころに浮かんだ考えをメモしておき、どういった意識でそう思ったのか、理由を考えてみましょう。それを重ねるごとに、どこか規則性があると気付けるはずです。

自分の癖に気付けたならば、同じ出来事でもよい意味付けをするように、意識的に変えていきます。「注意を受けた」という出来事を、「ああ、自分はだめだ」とするのではなく、「育ててくれようとあえて指摘してもらえた」と考える。今後につなげることのできる思考で、自分を伸ばすことができます。

 

メンタル不調と会社の関連性

会社勤めをしていれば、一日の大半を仕事に関わって過ごすこととなります。ストレス原因にいちばん多くあげられるのは「職場での人間関係」です。長時間過ごす場所で、日々負荷をかけられる生活が続くのは、大きな負担です。

会社側も、労働者のこころの不調に、敏感に反応する世の中となりました。各種啓蒙教育を設け、労働者や管理者の意識にアプローチを繰り返しています。それでもメンタルを病むひとは多く、休職者も増加しています。

実際にメンタル不調に陥ったとき、現状を変えるために自分にできることはそう多くはありません。だからといって、必要以上に悲観する必要もありません。負荷の原因となっているものを棚卸し、自分でできることとできないことに振り分けます。

自分の考え方やアプローチを変えることで、改善が見込める場合はまずそれを実行してみましょう。自分ではできないことの中でも、上司に相談することで叶うものもあるかもしれません。

こころの不調が起こったときに、どこまで個人の領域に踏み込むことができるのか。それは個人や会社、医師等の専門家でさえも、慎重にならざるを得ない部分です。軽微なうちに行動することができたのならば、回復もきっと早いはずです。諦めずに改善の道を探しましょう。

カテゴリー: 労務・産業保健関連