GLTDと働き方改革

2016年9月安倍晋三内閣より、「働き方改革実現推進室」が設置され、労働者の働き方を変えるための動きが本格化されました。2017年3月には「働き方改革実行計画」が決定されました。

いよいよ2019年4月からは、働き方改革の関連法案が施行されます。その主な内容として、残業時間の上限規制、勤務間インターバル制度の導入促進、年5日間の年次有給休暇の取得、月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ、労働時間の客観的な把握、フレックスタイム制の拡充、高度プロフェッショナル制度の創設、産業医・産業保健機能の強化などが主な取り決めとされており、一億総活躍社会を目指しています。

このような計画が打ち立てられた中で、事業者・労働者ともにより働きやすい企業を経営をするためにも、多くの企業でメンタルヘルスケアが重要になってきます。

メンタルヘルスケアの一環として、厚生労働省が行なった労働安全衛生の2017年の調査では、メンタルヘルス対策に取り組む企業は約57%です。また、ストレスチェックを行なった事業所は64%です。

この調査から、約5割の企業ではメンタルヘルスケアに取り組んでいることがわかりますが、今後、ますます産業保健に関する対策も必要とされるかと思います。

そんな中で、GLTD(長期団体長期障害所得補償保険)という制度の導入も、事業者・労働者の両者にとって非常に重要な対策と考えられます。

ところで、日本はストレス社会であり、持病を抱えながら仕事をしている人も多いですし、会社的にも労働者がいつ仕事をできなくなるかわからないというリスクを抱えながら経営を行なっています。

例えば、
・長時間労働のためにメンタルヘルス関連疾患に罹り、長期休業する人
・元々の持病(がん、脳血管疾患、心疾患、糖尿病など)が悪化して長期休業する人 etc…

このような人の中にも、結婚していて子供がいるという家庭が多いはずです・・・
毎月の生活費や毎月継続的に発生する住宅ローンや車のローン、お子様の教育費などの支出に加え、治療費も重なってきます。
これで収入が減少しては困ったものです。
そのような状況になってしまった場合でも、万が一の時の対策としてGLTDをご利用いただくことが可能です。

では、実際にGLTDとはどういった制度なのかをご紹介します。

GLTDという上乗せ補償

公的な傷病休業補償制度の「上乗せ補償」(GLTD)の準備はできていますか?

労働者が傷病のために就業不能になった場合、休業することで働いている時に本来得られた収入と、休業のために得られなかった収入の差額リスクが生じるため、公的な補償制度があります。


公的な補償制度では、収入差額の全額が補償できません。そこで、「上乗せ」 で補償するのがGLTDです。

最長で定年の誕生日まで補償されます。仕事復帰後も収入が減少していれば継続 して補償されます。
仕事に復帰した後も障害が残り、かつ収入が健康 時の80%未満になった場合は、減少した所得の割合に応じて補償が継続されます。また、退職となった場合でも、最長で60歳まで補償が継続します。

この補償は保険ですので、保険金は非課税扱いとなりますので、支払われる保険金に対しては所得税などの課税はなく、全額が手取りとなります。

パターンはこの2パターンです。
 ①業務中は、労災保険+上乗せ補償 ②業務外は、健康保険+上乗せ補償
国内企業の約2割の企業で、傷病休業のための「上乗せ補償」が採用されています。

GLTDを導入する効果(メリット)

実際に社内でGLTD制度を導入するにあたって得られる効果はこのようなものがあります。

・人材採用の際のPR項目が増える

「上乗せ補償」は、労働者のための福利厚生制度を充実させる1つの制度という意味でも、人材採用の際にPRできるポイントかと思います。また、この保険は、個人では契約できず、団体でしか加入することができませんので、会社という組織だから加入できるというメリットもあります。就職先は、福利厚生の充実を求めるという人材も多いですので、採用をする際にうまく利用できます。

・働きやすい労働環境の実現

働き方改革の内容にも重なりますが、この制度を導入することで、労働者が就労不能になった際の収入減少を心配することなく就業できますので、安心して働く環境を提供することができます。健康への効果的な投資と労働者を大切にすることが会社の健康経営にもなりますし、間接的には売上の増加に繋がるかもしれません。

・メンタルヘルス対策

メンタルヘルス関連の疾患として、うつ病などの精神疾患に罹る労働者は、年齢に関わらず増加していっております。メンタルヘルス関連疾患に罹った労働者は、治療が長期化する場合があります。そんな時にもこの補償があれば、労働者は休業期間中にも一定の収入を確保することができ、治療に専念することができます。

近年、労働者の精神疾患による労災訴訟も増えていますが、GLTDを導入することで労災の上乗せができるので、ある程度の対策が可能です。また、特約を付加することで、うつ病や統合失調症などの精神障害も補償することができます。

とは言っても、
「まだまだバリバリの現役だし健康だから保険なんていらないよ。」
「生命保険、共済、医療保険に加入しているから私は大丈夫!」と思っていませんか?

自分ではまだ健康と思っていても、万が一の時が「いつ」くるかは誰にもわかりません・・・
また、医療保険は入院・手術などに関わる治療費を補うためのものであって、会社を長期休暇する場合には保険金は出ません・・・

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